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売るのも買うのも子どもだけのキッズフリマ!開催レポート

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売るのも買うのも子どもだけのキッズフリマ!開催レポート

「お金への不安がある日本人は8割」「学生時代に学んでおけばよかったことの1位はお金のこと」

これらの数字を見て心当たりのある方も多いのではないでしょうか。

お金の教育の必要性が高まっている中、みらいいではお金の教育を実践している企業や団体の紹介をすることで、お金の教育が多くの子どもたちに届くようにしたいと考えています。

今回紹介するのは「出店者もお客さんも子どもだけ!」のキッズフリマ。

2024年5月26日(日)に東京の国立オリンピックセンターで行われたキッズフリマの取材レポートを、主催のNPO法人キッズフリマ代表、赤池様のお話を交えながらお届けします!

もくじ

    キッズフリマとは?

    キッズフリマとは、NPO法人キッズフリマが主催、株式会社HONEYTHINGが運営する「売るのも買うのも子どもだけ。大人は立ち入り禁止のフリーマーケット」です。
    2006年から全国で開催され、開催実績は1000回以上。すでに20万人が参加しています。
    お金や経済について学べる体験型イベントとなっており、文部科学省、環境省、金融庁などが後援。

    「子どもたちが主体的に活動していけるように、「子どもだけ」のルールにしています。体験から学びを得るには、自分自身で考え、行動し、失敗することが大切だからです」と主催の赤池さん。

    「大人になってからお金で失敗すると、金額も大きく、致命的になることもあります。でも、キッズフリマは品物の金額の上限は500円。失敗したとしても大きなことにはなりません。安全安心な場所で子どもたちが失敗し、成功する体験をしてほしいと思っています」

    自分でできた、という成功体験は、子どもたちの今後の選択肢を増やして行く上で、とても大切です。キッズフリマがその一端を担えたら、と話してくださいました。

    キッズフリマで身につくもの

    キッズフリマで身につくものは
    ①お金のリテラシー
    ②リユース意識
    ③コミュニケーション能力
    の3つ。

    キッズフリマでは本物のお金を使います。そのため、「商売」の面白さを体験し、お金のリテラシーが身に付きます。開店前には「店長の心得」と「お金の経済」のレクチャーもあり、経済や収支のことも学べます。

    また、キッズフリマでは、本来、ごみとして捨てるはずのものを売ることになります。そのことで「自分が不要になった物でも、他の誰かにとって価値がある事」を学べるのです。物を大切に扱う姿勢とリユースに対する意識が自然と身に付きますね。

    キッズフリマが開店すると、親は介入ができません。「困ったことがあっても、自分で考えること」を最初のレクチャーで子どもたちに伝えられます。初めて会うお客さんに対し、どんな風に声を掛け、どう品物を売るか。全ては子どもたちに委ねられます。コミュニケーション能力が否応なしに高められていくでしょう。

    キッズフリマ当日の流れ

    当日は下記のスケジュールで行われました。

    10:00~10:40 出店者受付、準備

    受付で出店費用300円を支払い、ブース名を教えてもらいます。
    子どもたちは大きな声で「おはようございます!」と挨拶し、自分で受付をしていました。
    ブースの番号を会場のスタッフにブース名を告げて、赤いエプロンをもらいます。
    1ブースは1.5m×1.5m。その中で、それぞれが工夫を凝らし、ディスプレイしていきます。
    準備までは、保護者の手助けが認められています。
    レジャーシートを敷き、手作りの看板を飾ったり、価格の札を並べたり。見やすいように工夫している姿が見られました。
    お友だち同士で出店し、手作りの似顔絵のバッジをつけている子も。やる気十分です!

    10:40~10:55 始まりのレクチャー

    この時間からは保護者は退場し、キッズフリマ会場の囲いの外から見ることになります。
    囲いは空気で膨らまされ、カラフルな色どりで、子どもたちのワクワクを高める役割を果たしています。
    緊張が見られる子どもたちに「始まりのレクチャー」が始まります。
    内容は「店長の心得」と「お金と経済」について。

    「店長の心得」では、「今日は赤いエプロンを付けている一人ひとりが店長であること」がまず伝えられます。
    店長の心得は
    ①自分で考えること
    ②自分で決めること
    ③声に出すこと
    ④行動する事
    の4つ。

    キッズフリマの最中に困ったことがあっても、親に助けは求められません。「ゆっくりでもいいから自分で考えること。それでもどうしても困ったら会場内にいるスタッフに声を掛けること」とレクチャーを受けます。
    そして「お客さんが困っていたら?」と話は続きます。

    「そう。お客さんが困っていたら、助けるのは店長さんのお仕事です。言葉をかけてあげてくださいね。どんな言葉をかけるかは自分で考えましょう」

    子どもたちが「自分でやるんだ」と気持ちが切り替わる瞬間です。

    「お金と経済」のレクチャーでは、同じ値段でも人によっては安いと思ったり高いと思ったりすること、昔物々交換だったことなどが説明されます。
    その中で「良い値段」とは「売る方も買う方も「ありがとう」と思える値段」である事が伝えられます。「キッズフリマの後半でセールをしたいと考えている人も、このポイントは忘れないでね」。
    また、お金の動きについてもお話がありました。
    商品を売って稼いだお金。それでお店でお昼ごはんを食べると、そこで働いていた人に支払われ、後日、お店の人とお給料となり、家庭に入って…と、お金はぐるぐると回っていくことが説明されます。
    その動きを見るために、店長さんたちが書くのが「収支計算シート」。
    品物が売れたら記入。もし、自分がお客さんとしてお買い物をした場合も記入することが伝えられ、最後の準備に入ります。

    短時間ながらもとても分かりやすく、子どもたちに訴えかける内容でした。それもそのはず。このレクチャー、金融教育家に定期的にチェックを受け、常にブラッシュアップしているそうです。

    11:00~12:00 キッズフリマスタート

    10秒前から店長さんみんなでカウントダウンをして始まるキッズフリマ。
    長い列で待ってくれていたお客さんの子どもたちが一気に会場へ入ってきます。
    緊張しながらも「いらっしゃいませ!」「これどうですか?」と大きな声を出す店長さん。

    「こうやって使います」とおもちゃの使い方を見せてあげる店長さんもいます。

    パペットを手に付けて呼び込みをしたり、「1つ買ったらカードか鉛筆をプレゼント」というボードを置いていたり、工夫をこらしています。子ども達はみんな、緊張しながらも目を輝かせているのが印象的でした。

    終了10分前には「セール」として「全部100円」「全部1円」にする店長さんたちも。
    他の店長さんがセールをするのを見て、自分もやってみようとセールをする店長さんもいるそうです。
    他の子どもたちの様子を見て自ら学び、実践していく姿勢が素晴らしいですね。

    12:00~12:10 終わりのレクチャー

    1時間のキッズフリマが終了すると10分間の「終わりのレクチャー」があります。
    「収支計算シート」「出店許可証」の記入について説明されます。

    「収支計算シート」には、
    収入(売り上げの合計)ー支出(出店料、他のお店でしたお買い物の金額の合計)
    =利益

    を記入します。
    分かりやすいように「星印の所に同じ数字を書いてね」など、工夫がされていました。
    中には二人で出店し、1万円近く売り上げた店長さんたちもいました。

    「出店許可証」には店長さんの学校や学年、名前、感想を記入して提出します。

    最後に「今回、ごみとして捨てていたはずのものが商品として売れましたね。買ってくれた人は大切に使ってくれるでしょう。手元にはありがとうの気持ちのお金があります。大切に使ってね」というお話がありました。

    12:10~ 片付け、撤収

    後片付けは保護者も一緒にします。ひと仕事を終えてほっとした顔、充実感のある顔。
    子どもたちは、親に頼ることなく、1時間のキッズフリマを自分の力でやったという「自信」がついたことでしょう。

    キッズフリマ出店参加者の声

    最初は緊張した様子でも、いざ始まってしまえば笑顔の子どもが多く見られました。実際にキッズフリマを体験した子どもたちと保護者の声を聞いてみました。

    子どもたちの声

    「1人でやっていると、お客さんが来たら対応しないといけないし、収支計算シートにも記入しないといけないしで大変でした。お客さんに「ちょっと待っててください」と声がけして対応するようにしました」
    「売れるように、途中で配置を変えてみました」
    「終了10分前から全部100円のセールをしたらたくさん売れました。最初からやっておけばよかった!」

    子どもたちは、お客さんが何を欲しがっているのかをじっと観察してコミュニケーションしようとしていました。
    「親に頼れない。自分で考えて動く」という場が、子どもたちの成長を促しているようです。

    保護者の声

    「実際のお金を使ってのやり取りをすることで、お金を使っている感覚を体験できるよいイベントだと思う」
    「姉弟で参加しました。姉はどうすれば売れるのかを考えてお客さんとコミュニケーションをし、弟はお金の計算ばかりしていました。二人の違いが分かって興味深かったです」
    「表示金額よりも安く売ってしまうということもありましたが、それもよい経験になったと思います」
    「大人がこれは売れるだろうと思っていたものが全く売れない。子どもの感覚とは違うんですね」
    「出店の抽選に外れてしまったけれど、どうしても出店したくて準備だけしていました。追加募集があり、本番二日前に参加できることになりました。家でお客さんとのやり取りの練習もしてきました!」

    実は出店募集数の5~10倍の応募があるそうです。毎回抽選になるのだとか。
    「希望する子どもたち全員に体験してもらえるように、今の開催数の10倍以上を目指しています」と赤池さん。
    現状では、商業施設での開催が多く、開催日の約1か月前~2週間前まで募集があるのだとか。
    気になる方はキッズフリマのホームページで確認してみてくださいね。
    キッズフリマ

    失敗も経験。自信をつけて人生の選択肢を増やしてほしい

    「キッズフリマは開催日だけではなく、数週間前から準備は始まっている」と話す赤池さん。
    「どんな商品を出すか、どんな風に並べたらお客さんが買ってくれるのか。開催前日まで、当日、終わってからも、お金について親子で会話する機会が生まれます。実際にお金を使ってやり取りをすることで、リアルな体験となる。リアルな体験こそが、学びとなっていくんです」
    キャッシュレス社会が進む中、「お金」を認識できる機会が少なくなっていることを懸念しています。
    「親の携帯電話にはお金が入っていて、ゲームにどんどん課金できると思っている子もいる。大人になってからも、お金を使う機会はあっても、給与は振り込みのところも多く、現金で稼ぐという感覚はあまり持ちにくいです。「お金」や「稼ぐ」ということについて、リアルな感覚を持っていないと、詐欺にあってしまったり、散財してしまったりと、大きな失敗をしてしまうかもしれません。だからこそ、子どものうちに、キッズフリマのような金額の上限も500円という安全安心な場でたくさん失敗をし、成功体験も積んで欲しいんです」

    大人から見ると、「どうしてそんな物を買ったの?」ということもありますね。
    「はい。でも、そこで「自分一人で買い物できたね」と褒めてあげてください。親に褒められると自信になります。自信があると、大変な状況になったときに持ちこたえられたり、人生の選択肢が増えたりしていくはずです」

    キッズフリマをやり切った子どもたちの表情には自信があふれ、輝いていました。

    体験することの大切さをよりたくさんの子どもたちへ

    「金融教育の地域格差があってはならない」と日本全国で開催され、これからも開催数を増やして行く予定のキッズフリマ。
    子どもたちにリアルな体験をプレゼントしませんか?
    そこで得た自信は、子どもたちにとって一生の宝物になることでしょう。
    ぜひ一度キッズフリマの会場に足を運んでみてください。
    お買い物を子どもたちの力でするだけでも、「自分でできた!」という自信につながります。
    お客さんとして体験したら、次は店長さん側に挑戦!一回り大きく成長した子どもたちの姿を見られますよ。
    キッズフリマ

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